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密度 動粘度 残留炭素分 硫黄分 ワックス分 流動点 蒸留試験
概  要
 一般性状試験として当社技術研究所で通常実施している試験は以下7項目である。

一般性状試験
 @密度
 通常15℃における数値が使われ、密度(15℃)と表し、その単位はg/cm3である。
試験法は、JIS K2249に規定され、浮ひょう法、ワードン比重瓶法などがある。浮ひょう法は、試料を規定のシリンダーに採り、規定の浮ひょう(浮きばかり)を浮かべ、試料の温度と浮ひょうの目盛を読み取り、測定密度を求めるものである。
ワードン比重瓶法は、規定のワードン比重瓶に試料を満たし、測定温度に保った恒温水槽中に保持した後質量を秤量し、あらかじめ測定した測定温度における比重瓶の水当量とから見掛けの密度を求め、空気の浮力補正等を行って測定密度を求めるものである。
測定密度から密度(15℃)への換算は、規定する付表(原油の温度に対する密度換算表)または規定する計算式によって求める。
密度は直接原油の実用性能を左右するものではないが、質量−容積換算の関係を示す数値で、売買時の大切な基準の一つである。関連用語として、比重、API度、油質、UOP特性係数がある。
比重は試料の密度と水の密度の比で単位はない。通常、試料と水の温度条件を示す記号を付けて15/4℃、60/60゚F等と表示する。API度はアメリカ石油協会で制定した比重の表示法で、60/60゚F比重より計算され、石油類の比重表示法として国際的に用いられている1)。油質は密度を基準として分類され、軽質原油、重質原油等と区分される2)
UOP特性係数は原油基を分類するためのもので、パラフィン基、ナフテン基等と区分される3)。通常、60/60゚F比重と平均沸点から計算されるが、API度と動粘度からも求められる。

1) API度算定式
API度=[141.5/(60/60゚F比重)]−131.5
2) 油質区分---密度(15℃)で区分
特軽質 0.8017未満
軽質 0.8017以上 0.830未満
中質 0.830以上 0.904未満
重質 0.904以上 0.966未満
特重質 0.966以上
3) 原油基区分---UOP特性係数で区分
芳香族基 11.0未満
ナフテン基 11.0以上 11.45未満
中間基 11.45以上 12.0未満
パラフィン基 12.0以上

 A動粘度
 通常、絶対粘度を密度で割った動粘度が使われる。単位は平方ミリメートル毎秒(mm2/s)で表す。従来センチストークス(cSt)が使われていたが、1mm2/s=10‐6m2/s=1cStであるため、単位の表示がmm2/sに変わっても数値は変わらない。測定温度は通常30℃、50℃における値が使われる。
動粘度の測定には、JIS K 2283に規定するガラス製毛管式粘度計を使用する。試験の原理は、ハーゲン・ポアズイユの法則を応用したもので、一定容量の液体が厳密に管理された温度条件下において、粘度計の毛管中を自然落下するのに要した時間を計測して、同法則の計算式により求めるものである。
粘度計には、ウベローデ粘度計、キャノン−フェンスケ粘度計、キャノン−フェンスケ不透明液用粘度計などがあり、試料の性質により使い分ける。
動粘度(粘度)は液体の流動性を示す重要な性質の一つで、原油の場合、油層内からの生産やパイプライン内における輸送管理上で、また、原油から精製される潤滑油のような場合、その性能に大きな関わり合いを持つ。粘度は密度とだいたい相関関係にあり、軽質原油の場合で数mm2/s以下中質で数〜数10 mm2/s、重質で数10〜数100 mm2/s の範囲であるが、重質では数1,000〜10,000 mm2/sを超えるものまである。

 B残留炭素分
 試料を空気流通の少ない状態で蒸発および熱分解させたときに生成されるコークス状炭化残留物を残留炭素といい重量%で表す。 試験法には,JIS K 2270で規定するコンラドソン法とミクロ法があり,当所ではミクロ法を適用している。
 コンラドソン法は,規定のコンラドソン残留炭素分試験器を用いて,試料3〜10gをるつぼにはかり採り,規定の条件で予熱,発生した油蒸気の加熱,残留物の強熱,放冷後の秤量を行い,残留炭素分を求めるものである。
 ミクロ法は,規定のミクロ残留炭素分試験器を用いて,試料0.15〜5gを試験容器にはかり採り,コーキング炉に入れてから炉内部を窒素雰囲気に置換した後,規定の条件で予熱,加熱,放冷後の秤量を行い,残留炭素分を求めるものである。本法は,少量の試料で済み,燃焼時に黒煙を出さず環境への負荷が少なく,同時に複数の試料を測定できる,等の特長があり,現在の「残留炭素分試験」の中において主流になりつつある試験法である。
 残留炭素分は軽油や重油の燃焼時において,燃焼室内でのカーボンの生成や油のコークス化と関係があり,また,潤滑油では精製度の目安になる。原油の残留炭素分はアスファルト分含量に比例する場合が多く,またアスファルト分含量は密度と概ね相関関係にあることから,重質原油ほど残留炭素分が多くなる傾向にある。

 C硫黄分
 原油中に存在する硫黄化合物には、遊離硫黄、元素状硫黄、硫化水素、メルカプタン、ジスルフィド、チオフェンなど多くの種類があるが、これらをひっくるめて全硫黄分として重量%で表す。
試験法には、JIS K 2541で規定する燃焼管式空気法、放射線式励起法などがあり、当所では放射線式励起法を適用している。燃焼管式空気法は、規定の燃焼管式空気法試験器を用いて、950〜1,100℃に加熱した石英製燃焼管中に空気を導入して試料を燃焼させ、生成した硫黄酸化物を過酸化水素水に吸収させて硫酸とし、この硫酸を水酸化ナトリウム標準液で中和滴定して硫黄分を求めるものである。
放射線式励起法は、規定の放射線式励起法分析計を用いて、エネルギー分散形蛍光X線によって硫黄分を定量する方法である。その原理は、線源から放射された一次X線を試料に照射し、励起された試料中の硫黄原子から発生する蛍光X線の強度を測定し、あらかじめ硫黄分標準物質を用いて作成した検量線から、試料中の硫黄分濃度を求めるものである。
また他に、ガソリン、灯油、軽油等石油製品の微量硫黄分を測定する方法として、微量電量滴定式酸化法、酸化分解・紫外蛍光法などがある。  
硫黄化合物のうち、硫化水素、メルカプタンなどは腐食性が強いとともに悪臭のもとになる。また硫黄化合物は燃焼して亜硫酸ガスとなり、大気汚染のもととなるほか、水に溶けて亜硫酸となり腐食性を示す。また、製鋼用、陶磁器用の燃料油は硫黄分が多いと製品の品位が低下するなど、燃料中の硫黄分は少ないことが望ましい。
アメリカ鉱山局とフランス国立研究所が世界の原油約9,300種について統計をとり、平均硫黄含有量0.65%という数値をだしているが、その含有量の分布は大きく二分される。大部分の原油1%以下であるが、埋蔵量で重要な位置を占める中東原油はそのほとんどが1%以上である。国産原油の場合、一般に軽質な原油が多いため硫黄分は低く、0.5%を超えるものはまれである。 留分ごとの硫黄含量をみると、中〜重質留分中に比較的多い。低〜中質留分中では炭素と水素だけと結合している化合物が多く、より重質になるとさらに窒素や酸素を含んだかなり分子量の大きな多環式化合物に含まれる。
一般に未熟成原油中には非チオフェン化合物が多くみられ、熟成が進むとチオフェン誘導体が多くなるといわれている。また、ベンゾチオフェン/ジベンゾチオフェン比は原油の熟成、進化に伴い小さくなるといわれている。

 Dワックス分
 石油の精製工程から製造される結晶性の良い、常温で固体のものをいい、JIS K 2235ではパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの3種に大別している。当社ではこれらをひっくるめて蝋分とかパラフィン分あるいはパラフィンワックス分などと呼ぶことも多く、重量%で表す。
試験方法はJIS K 2601で規定する以下のとおりである。規定のワックス分試験器を用い、試料1または2gをヘキサンに溶かし、活性白土を用いてアスファルテンを除去した後、ヘキサンを蒸発させて除く。アスファルテンを除いた試料をアセトン・ヘキサン混合溶剤に溶解し、これを-18℃まで冷却して析出したワックスをろ過して分離する。分離したワックスの質量から試料中のワックス分を求めるものである。
ワックス分は、炭素数約20〜30の直鎖状のパラフィン系炭化水素(ノルマル・パラフィン)を主成分とし、少量のイソ・パラフィンを含む炭化水素の混合物(分子量300〜500程度)である。常温では板状・針状・無定型の結晶の集合体として固体であるが、40〜100℃の範囲で容易に融解し、溶融粘度は低い。ろうそく(蝋燭)、ろう紙、ろう模型材料、防水・防湿剤、電気絶縁材のほか、つや出しや内部潤滑などのために各種の加工製品に加えられる。
原油中にワックス分が含まれると、温度降下に伴ってワックス分が析出する。坑井内に析出した場合には、チュービングの閉塞や生産量の減少、パイプラインについては輸送効率の低下、タンク類については計量誤差や貯油能力の減少、セパレーターなどの作動機器については作動不良といったように、さまざまな障害をもたらす。

 E流動点
 原油及び石油製品の低温における流動性を示す指標で、規定の方法で試料をかき混ぜないで冷却した時、試料が流動する最低温度を流動点といい、2.5℃の整数倍で表す。実際には油が全く流動しなくなる温度(凝固点)よりも2.5℃高い温度を流動点としている。
試験方法はJIS K 2269で規定する以下のとおりである。規定の試験管に採った45mLの試料を45℃に加温し、次いで規定の方法で冷却する。試料の温度が2.5℃下がるごとに試験管を冷却浴から取り出し、試料が5秒間、全く動かなくなったときの温度を読み取り、この値に2.5℃を加え流動点とする。
流動点は低温時における取扱い輸送の難易を知る目安となり、特に高流動点原油では、生産施設での負担が大きくなり、生産井、生産処理設備、輸送設備などの設計並びに操業条件に配慮が必要となる。操業温度条件が流動点近くまたはそれ以下の場合には、原油の加熱・保温や流動点降下剤の添加といった対策が必要となる。

 F蒸留試験
 蒸留とは、沸点の異なる炭化水素の混合物である原油を、その沸点差を利用して、単体あるいは一定の沸点範囲の留分に分別することである。
蒸留試験法には、石油製品ではJIS K 2254で規定する、常圧蒸留法、減圧蒸留法、ガスクロ蒸留法があり、当所では常圧蒸留法とガスクロ蒸留法を適用している。また原油では、JIS K 2601で規定する常圧蒸留法があり、本法を適用している。なおコンデンセートは、石油製品規格のJIS K 2254を適用している。
常圧法は、蒸留操作を加圧または減圧など圧力の調整を行うことなく常圧で行うことである。試験法は、石油製品、原油とも、それぞれ規定する常圧法蒸留試験器を使用して、規定の条件で蒸留し、初留点、留出温度、留出量などを測定するものである。試料量は、石油製品で100mL、原油で300mLで、それぞれ規定する蒸留フラスコを使用する。
減圧法は、常圧法では蒸留できない重質な留分を、減圧により沸点を低くして熱分解を防いで行う蒸留である。試験法は、規定の減圧法蒸留試験器を使用して、試料200mLを0.13〜6.66kPaの減圧下で蒸留し留出量と留出温度の関係を測定するものである。減圧下で得られた留出温度は、規定の計算式によって標準気圧下における温度に換算する。
ガスクロ蒸留法は前2者とは原理が異なり、ガスクロマト法を利用した方法で、分離カラムに無極性の液相を使うと、沸点の低い成分の順に各成分が順次、分離カラムから溶出してくる性質を利用している。試験法は、まず試料の沸点範囲をカバーする既知のn-パラフィン混合物を、沸点順に溶出し、かつ、規定の分離度をもつ充填カラムを備えた昇温プログラム付きガスクロマトグラフに注入して測定する。各n-パラフィンの沸点と得られた保持時間によって沸点変換線を作成する。次に、試料をガスクロマトグラフに注入し、同一条件で測定し、得られたクロマトグラムの積分値と沸点変換線とから、初留点、各留出温度、終点などを計算によって求める、というものである。
蒸留試験結果は、留出量と留出温度の関係として記録し蒸留曲線として表され、概略の石油製品収率を知ることができる。各製品の沸点範囲は、需給状況などによってそれぞれの得率を変えるため一定していないが、以下に例を示す。
   
ガソリン 灯油 軽油 残油
30〜200℃ 150〜280℃ 250〜350℃ 320℃以上

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